はじめてのGranular Certificate Scheme Standard(EnergyTag)

1.1 役割(★★)

まずはGC(Granular Certificate:粒状証明書)に関わる組織の役割について整理しましょう。

EnerguTagが提唱するGCスキームにおける各組織の関係図は以下のようになっています。

各々の組織の詳しい役割については原本または日本語訳をご参照ください。

注)原本の挿入図を日本語訳して再構成

日本語訳にもある通り、実時間でのマッチングの主張に関連する役割は、「Annex 1:Glossary and Acronyms(用語集と略語)」の定義で説明されており、その要件は別個のGCマッチング規格(Granular Certificate Matching Standard)で詳しく説明されています。こちらの文書も今後日本語訳を公開予定です。


1.2 スキーム構成(★★)

現在、企業が再生可能エネルギー源から電力を購入していることを証明する公式の文書としてEAC(Energy Attribute Certificates:エネルギー属性証明書)が一般的に使用されています。このため、企業が新しいGC(Granular Certificate:粒状証明書)による取引に参加する際には、GCとEACの二重会計を回避する必要があります。
より適切な形で二重会計を防止するためにはEACとGCをどのように対応させれば良いのか(GCはEACに対してどのように定義づけるべきか)、そのための構成法としてEnergyTagは3種類の提案をしています。EnergyTagはできる限り構成#1の方法に従うように求めています。

3つの構成のうち、EnergyTagが最も推奨するタイプです。
構成#1は従来のEAC発行のプロセスを踏襲していて、構成#0の概要図におけるEACが構成#1の概要図におけるGCにそのまま対応しています。

注)原本の挿入図を日本語訳して再構成

EACのシステムをそのまま残し、GCはそれを参照してリンクさせながら追加的属性(時間的粒度)を証明していくことで二重会計を防ぐ方法です。
構成#2ではEAC発行組織がそのままGC発行を担うケースが想定されています。

注)原本の挿入図を日本語訳して再構成

発行されたEACを償却してから償却明細書の記録に基づいてGC発行のプロセスを始める方法です。
構成#3では、EAC発行とGC発行は完全に独立したプロセスで行われます。

注)原本の挿入図を日本語訳して再構成

1.3 GC属性(★★★)

GC(粒状証明書)にはどの内容が書かれていなければならないのか、を示した章です。

基本的には現行のEACスキームでの属性を引き継ぎますが、GCスキームではそれに追加で時間的分解能(エネルギーの各過程に関する時間情報が追えるか)が求められています。
一般的には発電や蓄電池からの放電のタイミングでタイムスタンプを押すことで時間に関する証明となります。

原本や日本語訳にはGCに求められるすべての要件が記載されています。


1.4 タイムゾーン(★)

GCでは、時間を表現するために常にUTC(協定世界時)を使うように求められています。タイムスタンプなどがその例です。


1.5 発電量測定と登録データ(★)

GCを発行する側ではなく、GC発行組織に発電情報などを提供する発電事業者(蓄電事業者)に関する要件です。GCにおいて再エネとしての適格性が認められるためには、発電・蓄電の際の情報を明確に記録し、報告する必要があります。


1.6 蓄電(★★)

従来のEACスキームにおいては蓄電池への充電に対する償却は必要ない場合が多かったのですが、GCスキームにおいては「充電された時間」「放電された時間」も本質的価値になるため、蓄電においても償却が不可欠となってきます。

ただしEnergyTagは、蓄電のトラッキングは複雑であり、いまだに開発と実装の初期段階にあるという認識を示しています。
そのため本章では蓄電における基本的な考え方・属性の証明方法について理解することが目標です。

注)原本の挿入図を日本語訳して再構成

1.7 GCの有効期間と記録の保管期間(★)

GCが有効な期間とGCに関する記録を保管しなければならない期間について説明されています。


1.8 ITシステムアーキテクチャ(★)

GCのITシステムは、Energy Tag API Specification に従うように求められています。


1.9 不正の発見と防止(★)

新しいGCスキームという枠組みを導入することで想定される不正の種類やその防止法について解説されています。


1.10 市場設計(★)

GCスキームでは1時間単位の取引が行われるため、今後は市場設計が調整される可能性があることに言及されています。


1.11 支援制度との連携(★)

公的な財政支援制度とGCスキームとの関連について述べられています。


1.12 エネルギーの適格性(★)

そもそもGCに適格な再エネとは何か、という問いに対してのEnergyTagの見解です。

「流通リーチ」「補助需要」「一次エネルギー源」「T&D損失と輻輳」の項目ごとにエネルギーの適格性を保証するための要件が定められています。


1.13 測定データの事後修正に関するエラー処理(★)

GCが発行されてから誤りが見つかった場合の対応方法について定められています。
詳細はAnnex4に記載されています。

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